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山手線こわい

適当にセックスしたらあかん。

僕は、自分に言い聞かせた。



―――


がたんごとん。

がたんごとん。


山手線の車内。

言わずもがな東京なう。

そんな夜でした。



僕は迷わず着席。あの、一番端の席に着席。雨降ってる日とか、端っこのよくわからない手すりのところに傘かけられて便利だし、壁みたいなやつに寄り添って寝られるおかげで人気ナンバーワンである端の席に座っていました。老人とか来てもね、ちょっとこの席だけは譲れない。というか腰痛持ちだしね。もう老人と同等の扱いを受けてもいいんじゃないかってくらい腰が痛い。長年の性生活によって酷使されてきた腰を労わるという意味では、誰よりも座る権利を持ち合わせている僕ですからね。堂々と座っていました。ちなみに、この件を読む必要は全くありません。


さて、問題は正面に座ってる男女。

まず、男。

完全にホスト。誰がなんて言おうがホスト。なんだろう、どうやったらそんなに束感を作れるのか分からない髪型。というか何をどうやったらその髪型が正解になるのか分からない。分かりたくもない。僕の3ヶ月くらい美容室に行っていない髪型の方が断然社会に通用する。いやいい勝負かもしれない。ちなみに顔の造りに関して言わせてもらうと、100人いたら100人ともホストの方を支持するし、その100人の中に僕の彼女が入っていても結果は変わらないと思います彼女いないけど。


次に女。

微妙。一言で言うと微妙。すこぶる微妙。ベストオブ微妙。ブサイクではない。でも間違っても可愛くない。どちらかで言うなら完全にブサイク。でもブサイクではない。ちょっとだけブサイクなような気もするけど、ギリギリ普通って感じ。中の下フェイス。体型は可もなく不可もなくという感じだけど、髪型やファッションにはそれなりに気を遣って、どうにか持ちこたえてる感じ。


まぁ簡単に言うと、ホストが微妙な女をたぶらかして金蔓にしてるという構図がね、ありありと見えてくるわけですよ。


「そのバッグ可愛いじゃん?まじ似合ってるよwww」


とか言ってね、お仕事だから仕方ないかもしれないけど、そんな微妙な女をおだててセックスしたところで虚しくないのかと、僕は男子を代表して言いたいです。あんな女相手に勃起できるなんて、イケメンホスト台無しですね、ははっ。


という感じで、僕の脳内は1人勝ちモード。どう考えても土曜の夜に1人寂しく電車に乗っている時点で負け組以外の何物でもないんですが、そんなの関係ない。完全にイケメンホストを見下し、隣の女を憐れむ余裕さえもある、そんな状態でした。

そんな無敵モードの僕をですね、微妙な女が見てくるわけです。なんだこいつ。隣のイケメンホストにも飽き足らず僕にまで抱かれたいというのか。僕に抱かれたいなんで微妙な顔面の割に見る目があるじゃないか。微妙な顔面同士で仲良くしよう……って誰が微妙やねーん!

と、脳内で軽快なツッコミをとばしていたわけですが、それにしても見てくる。なんでこんな見られてるんだ。なんだこの女。


「彼女できたのー?」


なんか急に声を発した。微妙な女が。

どう考えても僕に対して話しかけている気がする。というか山手線の車内だからそれなりに人はいる。夜に上野からの外回りに人が少ないとは言え、それなりに人のいる車内で、それなりの距離感で言葉を発してきた。なんだこのブサイク。


「何?知り合い?wwwww」


とかホストは言ってて、どう考えても気まずい。というかなんだ。急に彼女いるとかいう質問おかしいだろ。


「ねー、久々に会ったのに無視ー?」


「だ、誰です?」


まだ話しかけてくる。無視するのは良くない気がしたというか逃げ道がない気がしたので、とりあえず返事してみた。無難に。無難この上ない質問。というかホンマにお前は誰やねん。


「えー1回寝といてひどーいwwwww」

「あの男と寝たの?まじかよwwwwwwww」

「うん、あいつ1回寝たら態度変わるからねー!」

「うっそwwww最低じゃんwwwwwwwwwwww」


とまぁ、この世でこんなことがあるのかと思うくらい残酷なトークが繰り広げられていて、おいおいこれは裁判所に行ったら確実に勝てる。名誉棄損でしかない。そんな状態なわけです。頭にきた。何が悲しくて僕がこんな微妙な女と寝なきゃいかんのだ。寝るわけない。大体、僕は可愛い子以外と、いや、そりゃ気の迷いで微妙な女と寝たことだってあるかもしれないけど、それでも顔くらいはちゃんと覚えてるに決まってる、いや覚えてないかもしれないけど、でも、ほら、なんかこう、だめだ覚えてない。覚えてないわ自分。可愛かった子はともかく微妙な女の顔とか全く思い浮かばないわ。なんだこれ。僕はこいつと寝たのか。寝たような気がしてきた。どうしよう。


「す、すみません覚えてないです」


と言って颯爽と山手線を降りた。だって分かんない。寝たかもしれない。でも寝てないかもしれない。嘘をつくわけにはいかない。そもそも寝たことがあったとして、あそこでカミングアウトする意味はあるのか。ないだろうよ。あれか、ホストに嫉妬して欲しくて適当なことを口走ったのか。そしたら、たまたま天下のプレイボーイに直撃するという事故が起こってしまった感じか。いや、でも普通に考えて、やっぱ寝たんじゃないのか。だめだ、わかんない。


「適当にセックスしたら、あかん」


電車を降りてから、ぼそっと呟いたこの一言には真理が詰まっている。

そんな風に、僕は思うんだ。



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by k-kina | 2012-09-16 01:18 | 日記