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お姫様

それはそれは昔のお話。

あるところに僕がいました。なんか静岡とかだったかな。田舎にいた気がします。何故かと聞かれると答えに詰まるんですが、幾分自由な身、いや身より心が自由だっただけかもしれませんが、まあ抱いてという女性がいれば静岡くらい、なんのその、という感じで静岡にいました。たぶん静岡。

まあ女性が迎えに来まして、他愛もない話をしながらドライブですね。まあ職場の愚痴だったり、彼氏の愚痴だったり、どうでもいい話だったので詳しい内容は覚えてません。見た目も悪くないと言えば悪くないけど、まあ地味で、特にこれといって特徴はない感じの女性でした。しいて言うなら声が可愛いくらい。うん、声は可愛かった。

まあ適当なラブホテルにチェックインしまして、そしたらベッドが可愛い。天蓋付きっていうんですかね、なんかひらひらしたものがベッドの周りを囲ってまして。正しくお姫様ベッドと呼ぶに相応しいそれでした。

シチュエーションとかどうでもいいと思いがちな僕も、これはいいじゃないかと。少しテンションが上がりました。しかも相手の女性は社会人ということで、ホテル代も出してくれると。これはもう有頂天と言っても過言ではないです。

ここでもう1度、女性のスペックについて確認しておきますが、そんなに可愛くもなく地味で、しいて言うなら声が可愛い程度です。しみったれたセックスで終わっても、なんらおかしい相手ではありません。

しかしこの日は違いました。

興奮に次ぐ興奮。

やはりシチュエーションというのは大切で、いくら地味顔の相手とは言え、お姫様ベッドですから、お姫様にしか見えません。どうせ初回セックスなんて薄暗くしてやるんだし、顔が派手だろうが地味だろうが関係ないんです。声も可愛いし。このあたりから心の中で彼女のことを姫と呼んでいました。

姫には特徴がありまして、全てに対して

「いやっ!」

と言うんです。まあ、よくあるやつです。女性のNOはOKというやつです。しかしね、それにしても言うんです。何かあるたびに言います。

キスをしようとしたら、

「いやっ!」

押し倒そうとしたら、

「いやっ!」

ブラジャーを外そうとしたら、

「いやっ!」

とにかく言うんです。でも全く抵抗しない。こういうのは大切です。姫はMを演じ、僕はそれを犯していく。セックスにおいて、こういうスパイスは大切です。さすがお姫様。なかなかわかってます。

そして、いよいよ挿入という段階になって、姫が言うわけです。

「ゴムつけないなんて嫌だからね?」

はい。つけます。避妊します。こんな彼氏もいるのに他の男としれっとラブホに入る女相手に生挿入する勇気なんて持ち合わせてません。当然つけます。

「ゴムつけないなんて嫌だからね?」

もう1回言ってきました。確実にフリとしか思えないのですが、もしかしたら杞憂かもしれない。一応聞いてみよう。そりゃ僕だってゴムつけてやりたいけど、セックスにおいて空気というのは大切ですからね。

「そんなこと言って生で許しちゃうんじゃないの?」

言ってやりました。

「無理やり生でしちゃ嫌だからね?」

ああだめだ。これはだめだ。生でやらざるを得ない空気だ。しかし嫌だ。でも空気は大切だし、どうしよう。まあ今の彼氏相手にしかセックスしたことないって言ってたし大丈夫じゃないだろうか。いやそんなの信用していいわけない。でも僕だって伊達にヤリチン名乗ってませんからね。いいでしょう。ここは生で挿入してやりましょう。

そうして生セックスが始まりました。

当然、生挿入は拒まれず、そこには大きな喘ぎ声だけが残りました。しかし、まぁ、お姫様ベッドですし。声も可愛いですし。ちょっと生セックスは予定外だったけど、楽しもう。そう思いながら僕も頑張るわけです。

ある程度の時間が経って、もうフィニッシュかな。僕も満足したし、姫も満足したでしょう。まあ初回セックスとしてはね、こんな感じで終わっていいんじゃないでしょうか。あとは予定調和な感じの会話を重ねて、終わりにしましょう。

「そろそろ、いっていい?」

男がセックス中に言うセリフ第一位に燦然と輝くこのセリフをね、言いました。みなさん1度は言ったり言われたりした経験があると思います。いくらセックスの経験を重ねてきても、このセリフだけは避けれない。これを言わないことには終わらない。そんなセリフをね、言いました。あとは許可を貰って、お腹にでも射精すれば終わりです。ところが。

「中に出しちゃダメだからね!絶対だめ!」

なんか言ってます。出しません。生挿入でさえ、かなり悩みました。中出しなんて当然しません。そんなこと許されません。いくら刹那的に生きてきたとはいえ、多少は将来も考えます。しかし本当に嫌で忠告してきたのかもしれない。そこのところをね、一応確認しないと。

「そんなこと言って中に出されたいんじゃないの?」

「いや!やだ!ああ中に出されちゃう!無理やり出されちゃう!」

僕は目を閉じました。おわった。もう無視しようか。どうせ、もう会うこともない。一夜きりの関係じゃないか。ここまで充分に応えた。お姫様の期待には応えてきた。最後くらい裏切ってもいいんじゃないか。さすがに中に出すのは怖い。

「中に出しちゃだめ!絶対いやっ!」

わかった。出す。出せばいいんでしょう。中に出せばいいんでしょう。それで満足なんでしょう。

放出しました。それはそれは悲しい射精でした。でもね、いいんです。これで姫の心が満たされるなら僕は何も望みません。男として生まれてきたからには女性の幸せを願って当たり前です。正しかったんです。なんの後悔もない。これで良かったんです。僕は姫のために自分を捨てました。

それで当の姫はと言うと、中に出した僕に対し、ありえない、誰がお前みたいな男に好き好んで中出しされなきゃいけないんだ、アフターピル代を出せ、信じられない、このブサイク、などと、おおよそ数分前まで性行していたとは思えない罵声を浴びせ、それに驚いた僕は、一体どこからが本音だったんだと問いただしたんですが、中出し以外はして欲しかったしゴムはつけない主義だけど、中出しは本当に許せないと激昂し、もう本当に意味がわからなくて、まじかよ、という頭の悪そうなセリフしか吐けなかったんですが、その後しばらくしたら機嫌も直り、またセックスを求められ、生挿入で外出しという正しい道を辿ったセックスを2度ほど行い、翌朝に解散しました。何が何だか未だにわからないのですが、別れ際に、彼氏がお前と血液型同じだし妊娠してても何とかなるか、と、おおよそこの世のものとは思えない捨て台詞を吐かれた記憶だけは一生消えそうにありません。そりゃあないよ、お姫様。



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by k-kina | 2014-03-24 00:09 | 日記